自宅に6畳の大建(DAIKEN)防音室を作ったのでスペックや使用感・かかった費用などについて書く

タイトル通り、木造戸建ての自宅に6畳の防音室を作ったのでスペックや使用感・かかった費用などについて忘備録的に書いておきます。

これから自宅に防音室を作りたい人の参考になれば幸いです。

防音室のスペック:大建スタンダード防音プラン(40dB 低域)



うちの防音室は「大建(ダイケン)楽器練習室 スタンダード防音プラン(40dB 低域)」です。

DIYではなく業者さんに施工してもらってます。ほぼこの公式ページに記載されている通りのスペックと建材で作られています。
大建(ダイケン)楽器練習室 スタンダード防音プラン(40dB 低域)https://www.daiken.jp/sounddesign/plan/s_plan8.html


通常の部屋の中にもう一層作るような工法なので、部屋の四方の壁面が約5~10cm前後ずつ狭くなります。

遮音等級は40dBですが低域もしっかりカバーしてされているので、DIYで吸音材や遮音材を設置するような簡易的な防音とは大きな違いを感じます。
参照記事:【DIY】防音室を3万円で手軽に自作してみよう【賃貸でもOK】https://www.sakumamatata.com/2017/03/soundproof-room.html

戸建てなので防音室単体の遮音性能にプラスしてさらに外壁材があるため屋外への音漏れは限りなく少ないです。実際に家の外に出て確認すると防音室で鳴らしている音はほぼ聴こえないレベル。おとなりさんやご近所の家にまで聞こえることはまずないでしょう。

大建の防音グレードとシミュレーションは下記ページでチェックできます。
防音グレードについて https://www.daiken.jp/sounddesign/grade.html

以下にこの防音室に使用された建材など記載していきます。

◆壁 DAIKEN オトカベL-80 クリアベージュ /
 オトカベS-3

壁材については2種類使用しているので、それぞれ以下で説明します。

まず「オトカベL-80 W600」は60cm幅の有孔壁になっており、より低音域の吸音性能が高い壁材です。



いわゆる「学校の音楽室」みたいな感じですが、このオトカベL-80はカラーも選べて木目柄で意匠性があって可愛いです。

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「オトカベS-3」はパッと見はふつうの石膏ボードっぽいですが、よく見ると小さな穴がたくさん開いています。布クロス仕上げ専用の吸音・遮音下地材です。

この上から吸音性能を阻害しにくい布クロスを貼ります。布クロスについては後ほど書きます。

実際に使ってみてもよく分かりますが、吸音性・調音性もとても高いですね。この部屋の静寂さ・音の吸い方は圧倒的に他の居室とは異なります。

オトカベS-3/オトカベL-80/DAIKEN>
https://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/13100146.html

◆布クロス(リリカラ LMT-15101)

壁材に使用したオトカベS-3は布クロス仕上げ専用の吸音・遮音下地材なので、その上にこの壁紙を貼りました。

「リリカラ LMT-15101」は標準的なホワイトカラーですが、布クロスなので少し温かみのあるクリーム色という感じです。


一般的な居室に使用するビニールクロスでは透過性が劣るので吸音ボードに十分に到達せず、ビニールクロス表面で反射されてしまいます。そのためせっかく吸音ボードを使っても、その吸音効果が十分に発揮されません。その点、布クロスは透過性・吸音性に優れており、用途にピッタリです。

◆布クロス貼り(リリカラ LMT-15101)https://www.lilycolor.co.jp/interior/search/product.php?data_id=15664&d=wallcoverings

ちなみに打ち合わせの段階で黒系カラー(LMT-15107)にするか迷ってやめたのですが、今は一周回ってやっぱりスタジオっぽい黒系の壁紙も良かったかもという気がしています。

家建てるとこういう「あっちを選んでたらどうだったかな?」というのがちょいちょい出てきます。笑

◆天井 オトテン3/DAIKEN

天井は全面オトテン3を施工しています。


ビジュアル的にはほんのり昭和の家っぽいイナタさがありますね。個人的にはもうすこしモダンな感じがよかったので、オトテン200Wやオトテン100Aなんかも部分的に使えばよかったな~と完成してから思いました。

打ち合わせしてた頃はとにかく忙しかったのでこういう細かいところをあまり考えきれなかったのがちょっとした後悔ポイント。とはいえ性能自体はバッチリなのでそこに文句はありません。

オトテン3/DAIKENhttps://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/14100177.html

◆窓 防音工事 窓サッシ(内窓プラマードU/YKKap)

外側の黒いサッシがもともとの建物の窓で、Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)です。
出窓ではないですが20cmくらいふかし枠があり、そこにそのまま内窓をつけているという形です。



プラマードというだけあってプラスチック樹脂製のサッシなので一見すると少しチープさもあるのですが、実際に使ってみると驚くほどの防音・断熱効果があります。

我が家が出来たあとに周囲も新築工事が始まって、まさにこの防音室側のおとなりさんもガンガン工事しはじめたのですが、この窓を2重で閉めていると外の騒音はほとんど聞こえない・気にならないレベルに低減されました。すごい。工事の騒音にかぎらず車の排気音、セミの声とか近所の子どもたちが遊んでる声などがかなりカットされます。

また冬場の断熱効果は目を見張るものがあり、Macや機材からの排熱があるので6畳程度の部屋ならエアコンはほぼ不要です。


内窓プラマードU 引違い窓(戸先錠仕様)2枚建 窓タイプhttps://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/madoremo-plamadou/lineup

◆床(遮音マット/吸音ウール/DAIKEN)


「遮音マットS09」が床一面に敷き詰められています。これは建築途中じゃないと見れない部分ですね。この上から通常のフローリング材を敷いています。


フローリング材は音が反射しやすいので、ラグを敷いて使っています。もっとスタジオ感のある良い具合のペルシャ絨毯もほしい。

遮音マット/吸音ウール/DAIKEN https://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/15100201.html

◆ドア(アドバンスA 防音タイプA00/DAIKEN)

一見すると普通の居室のドアですが、しっかり防音ドアです。


グレモン錠(リハーサルスタジオによくあるドアノブ)なのでレバーハンドルを下げるとドア開き、レバーをガチャンと上げるとドアがロックされて気密性・防音性が高まります。より気密性を高めるためにドア枠にぐるっとゴムパッキンがしっかりついてます。

ドアと床のスキマから漏れないように一段高くなっています。この段差のせいでロボット掃除機がこの部屋に入れないのだけが唯一ネックです。笑

◆ドア(アドバンス(A)防音タイプA00/DAIKEN)https://www.daiken.jp/sounddesign/lineup/17100238.html

◆換気扇(DKファンNK 08タイプ/防音フード/DAIKEN)


防音性・気密性を高めるとどうしても通気性が引き換えになってしまうけど、通常の換気扇ではそこから外に音が漏れてしまうため防音性を損ないます。

そこでこのDKファンNKのような給気・排気一体型で気密性の高いファンが重宝します。防音性だけでなく、外気清浄や熱交換換気システムによる省エネ性能もあるワンランク上の換気扇です。

通常の居室にある24時間換気や換気扇と比べるとけっこう大きいので設置場所に注意が必要です。
◆換気扇(DKファンNK 08タイプ/防音フード/DAIKEN)https://www.daiken.jp/ventilatorfirealarm/lineup/16100214.html

使用感・防音性

【無音時】防音ドアと2重窓を閉めて音楽など再生せず無音状態にすると、一気にシーンとした静寂が訪れます。室内で発声したり手を叩いたりしても音が反響せずしっかり吸音されているのがよく分かります。

【音声再生時】いつも音楽制作時のリスニング音量はだいたい70~80 dBくらいで運用しているので、その状態での使用感や体感音量などをお伝えしていきます。

防音室内



防音室内でいつもどおりの音量で音楽を再生している状態。

曲中の静かなパートなどでは少し音量感が下がりますが、だいたい70~80 dBですね。(測定に使ったのは「デシベルメータープロ」というiPhoneアプリ)

【80dB】騒音の目安
・地下鉄の車内
・電車の車内・ピアノ(1m)
・布団たたき(1.5m)
・麻雀牌をかき混ぜる音(1m)

防音室の外での音量



防音室のドアを閉め切った状態で、部屋の前の廊下にいると「なんの曲か分かるけど、歌詞は分からない」くらいのレベルで音漏れしてきます。

音楽は漏れ聞こえますが、42dBというとほぼ生活音レベルですね。(防音室内からそのまま計測しているのでMAX79dBのままになっています)

【40dB】騒音の目安
・市内の深夜
・図書館
・静かな住宅地の昼

 

隣室での音量


防音室のドアが閉まっていて、かつ隣室でもドアを閉めていれば「音はほぼ気にならない」くらいのレベル。

防音室の隣の部屋は寝室なのですが、妻が寝てたりテレビを観ているとき「ぜんぜん音聴こえないから音楽やってるかどうか全然分からないね」とよく言われます。

【30dB】騒音の目安
・郊外の深夜
・病室内
・落葉の音

これ以降は計測してもどこも30~40dB前後になってしまうため計測値は省略して、体感音量だけで記載していきます。

階下での音量

防音室のドアが閉まっていれば階下ではほぼ聴こえません。
ウチの場合は1階リビング内に階段があり、防音室がある2階の廊下とドアなしでつながっているので、夜中のように静かな環境・時間帯であればかすかに音が聞こえる可能性はあります。

家の外での音量

日中であれば家の外に出て耳をすませても防音室内の音はまったく聞こえません。外壁サイディング材を通しているので屋内よりもさらに遮音されており、実質-60dBくらいになっているのではないかと思います。

夜中は確認はしていませんが、外が静かな時間帯でも外まで聞こえることはまずないと思います。(家の中では多少聴こえるため80dBとか出しちゃうとさすがに家族から文句を言われると思うので、夜中は音量をちょっと控えましょう...)

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ざっくり計測などしてみた感じだと-30~35dBとなり、さらにサブウーファーの低域もしっかり防音されていると感じます。「スタンダード防音プラン(40dB 低域)」相応の性能だと思います。

大建の公式サイトに記載されている「他の部屋ではピアノの音が小さな声くらい」というのは概ねその通りという印象でした。

かかった費用

大建のページにもあるとおりスタンダード防音プラン(6畳)の費用は約220万円~かかるようです。さらに防音仕様の窓などはオプションになるのでもう少しかかると考えた方が良さそうですね。


うちの場合は見積書の内訳を見るかぎり総工費はかなり安く、ほぼ100万円ポッキリで施工できました。家を建てるのと同時に施工したのが大きなコストダウンにつながっていると思います。

(画像は実際の見積書)

サラリーマン兼業作曲家、防音室付きの家を新築で買うhttps://www.sakumamatata.com/2023/06/house.html

既設の建物に対して新たに防音工事を行う場合には、既存の壁や床を剥がしてやり替える工事も必要になるためそのぶん費用もかかります。

新たに建てる建物に防音工事を行う場合には、その手間が省けるぶん安く施工できます。この点で費用面で大きな差が出ますね。

防音室費用の比較

防音工事業者

いろんな防音工事業者さんのホームページをチェックしてみましたが、それなりに遮音性能のある防音室を作ると、だいたい1坪あたり100万円~が相場のようです。 たとえば6畳(3坪)の防音室を作る場合は300万円程度の費用がかかることになります。

また防音仕様の窓やドア、換気扇などはオプションになるので、その分の費用も考慮する必要があります。 既存の建物にリフォームする形で施工するとなるとコストがかかりますね。

家を建てるときに一緒に施工する場合にはそのハウスメーカーまたは工務店が防音室施工に対応しているかどうか事前に確認することをオススメします。

ヤマハの定型タイプの防音室「セフィーネ」4.3畳

同等の40dB遮音性能を持つ定型防音室「セフィーネ」のもっとも大きいサイズ4.3畳ではおよそ295万円だそうです。躯体への工事不要で後から設置できるメリットはありますが、金額的にはすこし割高感がありますね。
  • AMDC43C 定型タイプの防音室 セフィーネNS
  • 希望小売価格:2,959,000円(税込)

いずれの場合でも6畳サイズ程度の防音室を後から設置すると少なくとも300万円くらいの費用がかかるということが分かりますね。

まとめ

  • 6畳で40dB防音程度なら約300万円くらいで防音工事できる。
  • 家を建てるときに一緒に防音工事すればもっとコストを削減できる。
  • 防音工事をすると断熱性が高まって冬めちゃくちゃ暖かい。
  • 作曲やDJ、音楽鑑賞する程度であれば大建スタンダードプランでも充分な防音効果を得られる。
  • 防音室とはいえ大きい音を出せば多少の音は漏れるので期待しすぎは禁物。
  • ドラムやバンド演奏などする場合にはさらに防音性能の高い工事が必要となるためコストが爆増する。
  • あとから追加工事すると結局コストが高くつくので最初からワンランク上の防音プランにしとくのもアリ。
  • ほぼ無音レベルまで防音したいならさらにハイグレードでコストの高い工法を検討する必要がある。

この記事が「これから自宅に防音室を作りたい!」という人のお役に立てれば幸いです。

それではまた次回の記事で。


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