【DIY】防音室を3万円で自作してみよう【自宅・賃貸でもOK】



防音室って音楽やる人間としてはめちゃくちゃ憧れるけど、かなりお高いですよね。大きいし、重いし、賃貸ではなかなか難しい...

そこで今回は僕が自宅に作った防音のボーカルブースを例にその作り方を忘備録として残しておきます。

実際に作った防音ブース

もったいぶってもしょうがないので、完成形のネタばらし。
実はもともと部屋にあったクローゼットをブチ抜いて、防音材・吸音材を設置してブースにしました。



クローゼットサイズなのでちょうど人ひとり入れるくらい。ちょっと狭くて見栄えもイマイチですが、防音・吸音材をしっかり設置しているのでかなりデッドに音を吸う空間ができました。

自宅環境と防音室に求めるスペック

僕の場合はまず物件選びの時点で、音楽をやる前提で安アパートを避けて鉄筋コンクリート造の賃貸マンションの最上階・角部屋を選びました。木造アパートよりは防音性が高いとはいえ、大声で歌ったりアンプを鳴らしたりすれば当然まわりの部屋にも聞こえてしまいます。

近所迷惑で苦情がきたりトラブルになるのも嫌だし、かといってガマンして思うように音楽ができないのも嫌だ...。完全防音でなくてもいいので、がっつり歌ってる声が普通の話し声くらいに抑えられるような防音室があれば夜中や早朝でなければ問題なさそう。

どんな防音室が最適か?

本格的な防音室



最もポピュラーなのがヤマハの「セフィーネ」「アビテックス」シリーズや、カワイ楽器の「ナサール」シリーズ。きちんとしたメーカー製なので品質や性能は申し分ないけど、最も安い0.8畳サイズで50万円以上と金額がお高いです。

また、撤去時にも解体費や運送費で5万円くらいはかかるようです。

簡易的な防音ブース

最近ではボーカルブース大の防音室のラインナップが増えてきており、価格帯もだいぶお安く手に入るようになりました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
VERY-Q VQP960 Boothset(防音タイプ)[簡易防音室セットグレー]
価格:239980円(税込、送料無料) (2017/7/14時点)


防音室界隈でいちばん最安値の「だんぼっち」でようやく7〜8万くらいで購入できるといったところ。なるほど、防音を求めるとやっぱりそれなりに費用が掛かるんですね。。

いろいろと調べてるうちに「もしかしてホームセンターなどで材料を集めて買った方が安くできるんじゃないだろうか?」と思ってきました。

どうやって自作しよう?

値段的にも自作の方がお安くできそうだし、カスタムの余地があっていいかも?と思い、いろいろと調べて、まずは「防音室のハコそのものをどうするか」から考えはじめました。

防音室を自作するなら、まずハコそのものを作る必要がありますね。値段と加工しやすさを考慮すると木材がいちばん現実的かと思います。超ざっくりですけど、これくらいあれば人ひとり入ってボーカルを収録することは可能。

ボーカルブース向け防音室に必要なサイズ(超ざっくり):
(外形寸法)横幅100×奥行100×高さ200cm

このサイズ感のハコを作るために必要な木材の費用を試算したところ、おおよそ3万円分の木材が必要です。(近所のホームセンターで購入する場合のざっくり見積もり)ある程度きちんと強度を保てる設計で、骨組みや壁面の木材を用意するとなるとこのくらいは見ておいたほうがよさそう。

しかし、これだけの木材を購入して自室に運ぶことや、組み立てるための道具、それらの手間を考えると一気にめんどくさくなってきました。笑

クローゼットぶち抜き計画

そこで考えたのがクローゼットぶち抜き計画。
すでにハコ型になってるし、人ひとりくらいならなんとか入れる!クローゼット最高!

ウチの場合は角部屋でこのクローゼットの部屋のとなりには部屋がないので最適な場所です。


こんな感じ。
めちゃくちゃ普通のよくあるクローゼット。


中を開けてもめちゃくちゃ普通のクローゼット。お前も防音室にしてやろうか!

というわけで、ジャマな棚板とハンガーかけをぶち抜き。


よくよく見てみれば、こういうのはだいたいネジでとまってるだけなので+ドライバーがあれば外せちゃいます。


すぐ取れた。ってことはまたすぐ戻せるってことなので、賃貸でも安心。
これだけでハコ部分は用意完了。

ここまで所要時間30分程度。費用はゼロ。

もちろん物件によってクローゼットの構造や棚板の留め具は異なるので、ドライバーだけでは外せない場合もあるかもしれません。破損してしまわないように。

注意点

  • クローゼットは人が滞在する目的で作られていないためベニヤ張りになっていることが多く、だいたい通常の部屋よりも遮音性は低い空間です。
  • クローゼットの隣接するすぐ横の部屋がお隣のお宅だと、お隣さんにそこそこ聞こえちゃう可能性もあります。構造をよくチェックすること。
  • クローゼットの形状や仕切りなどのタイプによっては必要な道具や所要時間などは変わるので、いきなり解体し始めないでこちらも事前によくチェックすること。
  • 賃貸の場合は原状復帰を視野に入れてブチ抜くこと。

自作防音室に必要な材料

ガワ部分のハコができたら、やっぱり防音するための素材が必要。なるべくお金はかけたくない(僕みたいな)人のために安いプランで考えてます。



壁面 | 遮音シート | 吸音材

こういう並びで防音材を取り付けていきます。
それぞれの材料について以下で説明していきますね。

遮音シート


防音性能を高める基礎材料として、最も一般的に流通している商品です。
いわば防音や遮音をお考えの方にはスタンダードな防音資材といえるでしょう。
音を遮断するための素材。この遮音シート自体の防音性能はそんなに高くないですが、他の防音材と合わせて使うことでさらに効果的な防音性能が得られます。



吸音材



音というのは「周波数による振動」なので、この振動を吸収して通過させないことが防音における重要なファクターです。

その点、吸音材は音の振動を吸収する高い防音性能を持っています。材質の密度と質量、厚みでかなり防音性能が変わるのですが、このGCボードは超ナイスです。(僕もこれ使ってる)

スタジオやライブハウスでも使われている建材なんですが、自宅スタジオの防音にもピッタリです。これ5枚セットで2万円なんだけど、ボーカルブースくらいのサイズならこの吸音GCボード5枚あればじゅうぶん覆いきれるっていうか余っちゃうくらい。

似たようなものだと、ホワイトキューオンなんかもいい感じです。



ただ、やっぱ色がブラックのほうが防音材っぽくてカッコイイので僕はGCボードをゴリ押し。


というわけでここまでで必要な素材は遮音シートと吸音ボードのみ。

両方合わせても27,000円程度。お安い。

遮音シートの貼り付け方法

さて、それではまずは壁面に遮音シートを貼り付けていきます。



遮音シートはロールになっているので、加工が必要な場合はカッターで適宜カットしていくこと。わりとサクサク切れますが、手足のケガや床にキズをつけないように注意。



こんなかんじ。ちなみに壁面に貼り付けるのにはタッカーを使っています。
でかいホチキスみたいなやつですね。

 

クローゼットの中のベニヤ材みたいな木壁だったら余裕で撃ちぬけるので、コイツでバチーン!と遮音シートを留めちゃいます。壁にシート貼るのに接着剤使っちゃうと元に戻せなくなっちゃうけど、タッカーなら針をペンチで引っこ抜くだけでOKなので賃貸での現状復帰にも最適。

(※もちろん打ち込んだ場所にはちょこっと穴は空きますが、画鋲などを刺した程度の穴なので不動産屋に指摘されるレベルの傷にはなることはほぼないです。)

吸音ボードの取り付け方法

ちょうど良いサイズにカットする

吸音ボードもカッターを使ってザクザク切れますが、厚みもあるので勢いあまって手を切ったり刃が折れてしまってケガしたりしないように十分ご注意を。

ちなみにこの吸音ボードの中身は「グラスウール」というガラス繊維でできた綿状の素材なので、作業の際はなるべく吸い込んだりしないようにマスクなどを着用すること。
あと肌に刺さるとチクチク痒くなるので長袖で軍手などをして作業すること。もしチクチクしたらお湯で洗ったりお風呂に入ると取れやすいですよ。

ちなみにグラスウール自体はそこまで危険なものではないので過度な心配は不要である、ということを追記しておきます。
参照リンク:グラスウールによくある4つの誤解
https://www.isover.co.jp/glasswool-life/about_glasswool/misunderstanding

壁に貼り付ける

吸音ボードは厚さが5cm以上あってタッカーでは留められないので、ここは強力両面テープや接着剤で付けちゃいましょう。遮音シートの上に貼るだけだから元の壁にはダメージなし。無問題。

(※接着後はしっかりくっつけるためと、気化した有機溶剤を吸い込まないように部屋を換気してしっかり時間を置くこと。実際ブースの使用は1日後が望ましいです。)



貼り付けてみると、こんな感じになります。



お、一気に防音ブースっぽくなった。いいですね。

さらに足元にも吸音ボードとコルクマットを敷いてみた。



しっかり敷き詰めておくとより吸音できます。ちょっとムニムニするけど。笑



ここまで費用はまだ2万円台でおさまってます。

照明の取り付け


扉を閉めると暗くなっちゃうのでLED照明をつけました。

コンセントで電源供給するタイプのやつはドアの密閉具合に支障が出るので、電池式をチョイス。今回僕が買ったのはELPAというやつで、これの良いところがリモコンでオン/オフできるところ。


1つあたり1500〜1600円程度のアイテム。これをふたつ購入しました。
ここまでの材料と合わせて総額3万円ちょいくらい



クローゼット防音ブース、ほぼ完成!

さて、これでもうほぼ完成です。



(全体が真っ黒で味気なかったので、IKEAで買ったラグを掛けておきました。笑)

材料さえ揃えばこんなかんじの防音ブースが所要時間は半日もあれば出来ちゃいます。

防音ブースの性能はどんなかんじ?

それっぽいブースができたところで、性能の検証をしてみましょう!

測定の条件は以下のとおり。
  • 測定に使うのはiOSアプリ「騒音計」 
  • 扉の開閉時の音の大きさ(dB)を測定する 
  • 音源はBluetoothスピーカー(JBLのFLIP3)をブース内で音量MAXで鳴らす 
  • 曲はきゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」(音圧オバケ)



写真だけじゃイメージしにくいと思うのでわかりやすいように動画にしてみたんですが、伝わりますかね、、笑

扉が開いている状態(開放)


扉が開いている状態ではこんな感じ。平均96dBの音量でにんじゃりばんばんしてます。もうパーティー状態。

このスピーカーちっちゃいのに出力デカくて、音量MAXにするとめちゃくちゃうるさかった。実際に96dBというのはカラオケやパチンコ店内くらいの騒音だそうです。

扉が閉まっている状態(防音)


扉が閉じている状態ではこんな感じ。
平均67dBでにんじゃりばんばんしてます。

60~70dBでは掃除機の音・普通の会話などの音量感なので、夜中でなければ家の中で鳴っていても不自然な音の大きさではありません。この防音ブースがある部屋から出ればさらに小さく聞こえるし、家の外に出るとほぼ漏れては聞こえません。

うちのようなRC造マンションであれば隣や階下の号室にも騒音というレベルの音には感じられないのではないかと思います。

測定結果



閉め時67dB、開け時96dBの平均値から計算すると

96-67=29

なので、D-29の防音レベルとしました。
測定方法とかはアバウトなので正確ではありませんが、参考までに。

まとめ

  • 総予算は3万円くらい
  • 材料・道具が揃っていれば1日で完成できる
  • 防音レベルは20〜29dB程度
  • ネット上で見られる自作防音ブースの中でも安価な部類

おわりに

当初の予定だった「会話レベルの音に抑えたい」という目標はじゅうぶん達成できたので僕としては大成功です。市販の防音室もD-30, D-35とかなので、DIYの突貫工事にしては悪くない結果が得られたのではないかと思います。

ちなみに単純に音量の測定をしてますが、厳密に言うと周波数帯域によっても変わってきます。サブウーファーなどの低域〜超低域は吸音材だけではあまり防音することができないので、より質量の多い金属やゴムなどの厚みのある防音材を使用する必要があります。

追記:2022/03/12

家を買ったので引っ越し時にこの防音ブースを解体して原状復帰しました。

注意点としては吸音材に使用したロックウールは処分するときには「産業廃棄物」として産業廃棄物処理業者に有料で回収してもらう必要があります。

最寄りの回収業者はGoogleで検索すれば簡単に出てきますし、各自治体・行政のごみ処理パンフレットにも書いてあるのでそちらをチェック。

処分費用は業者さんによって異なると思いますが、僕が処分したところでは重量に応じて金額が算出されて、すべてのGCボードを処分してもわずか数百円程度でした。おそらくどの業者に持ち込んでもそこまで高額になることはないと思われます。自家用車があれば運搬もカンタンです。

参照リンクと謝辞

こおろぎさんのブログを参考にこの記事を書きました。ありがとうございます。
防音室を作りたい方のためにうちの防音室のスペックとか費用とか設計図とか道具とか色々書いてみます

GANOさんのブログでは防音についてイラストも交えて解説してくれているのでとてもわかりやすいです。ありがとうございます。
音楽やるならやっぱり大事!部屋を防音してみました。防音とは何か、音の伝わり方も勉強します。 - Past Orange

コメント

  1. ギターが置いてあるのですが
    ギターを弾けるほどの広さなのでしょうか?

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    1. 弾けないことはないですが、うちのクローゼットでは余裕もってギター弾くにはちょっと狭いですね。あらためてクローゼットの寸法も追加しておきますね。
      ちなみに写真はブースを使ってないときにギターを収納してる様子です。笑

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  2. こんにちは。
    似た方法で防音室を作ろうとしているのですが、中で演奏しているときGCボードがむき出しでも大丈夫でしょうか?(吸い込んだりして)

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    返信
    1. 返信めちゃ遅くなってしまいすみません。他の読者さんのためにも回答しておきます。
      グラスウールは実はそこまで体に悪影響はありません。もちろん注意して取り扱うに越したことはありませんが。

      参照リンク:グラスウールによくある4つの誤解
      https://www.isover.co.jp/glasswool-life/about_glasswool/misunderstanding

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  3. こんにちは。これに更に防音性を高めようとすると、何が必要になりますかね…?

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    1. 予算に余裕があるなら、より効果の高い防音材を揃えて作るとか、クローゼットがある部屋自体も防音しちゃうとかですかね。

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  4. このコメントは投稿者によって削除されました。

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